素晴らしいガーデナーはいつも神にお祈りを捧げている
祈り
イギリスのガーデナー達の間で言い伝えられているたとえ話にこんな言葉がある。
「素晴らしいガーデナーは、いつも神にお祈りを捧げている」と。
クリスマスローズのホームなのに何で、お祈りとはと。
この「お祈り」とは草取りのことである。
雑草取り。
イギリスでも日本でも庭を美しく管理するには、目に見えない、とてつもない苦労がある。
室内での仕事ではなく全て野外。
夏は汗みどろになり冬は寒さに震え指をもみしだきながらの庭仕事。
虫は襟首から背中に入り、爪の間は土で黒々。
日本の庭師などは芝を植え込むのを頼むと地ならしをして芝を植え込むまで。
そこまでしか仕事をしない。
その後の管理はご自分でと。
その後の芝の育て方や管理方法なども解っていないし庭の主人にも教えもしない。
年月を過ぎた芝を敷き詰めた庭が所々はげているのを見る。
芝に一番必要なことなどは意外と庭師にも庭の主人にも解っていないようだ。
肥料、水、日光 草取り。
これは、植物なんだから当たり前だよと人は言うかもしれないが、その必要な十分なことが解っていない。
ほとんどの植物には必要だとの認識。
いざ実際に芝を管理してみると、これほど厄介なことはない。
うっかりすると芝の葉は伸び放題。
鳥が種を運び雑草は生い茂ってくる。ゴルフ場ならいざ知らず庭の芝に除草剤などをかけてみると、芝は真っ赤になりあれれれれ、、、、となる。
ただ芝を庭に敷き詰めるだけで良いなら、それも良い。
しかし庭に芝を敷き詰めたなら絨毯を緑色に敷き詰めてこそ価値が出てくる。
こだわりの緑の絨毯はいつも目に楽しませてくれる。
イギリスでもどこの国でもガーデナーにとっての苦労は害虫や病気だけでなく、一番の厄介者は「草取り」。
小さくても大きくても美しく庭を見せるには機械化は不可能。全ての仕事は古典的な手仕事、人力。
庭を美しく、そしてその庭の持ち主、管理している人だけが楽しむだけでなく、隣近所の人、通行人など大勢の人々に楽しんでもらおうというのがイギリス流ガーデナー達の考え。
住んでいる家を売るときには庭の管理、芝の美しさ、すなわちそれまでその家に住んで庭を管理し楽しんできた人の人生の価値までが、その売却する家の価格にも影響するのがイギリス。
花を咲かせたり、他人から聞いたり本から得た知識をひけらせたり、珍しい植物を集めたり、自分では一切手を出さず家人に鉢の水やりを任せて悦に入っていると、一人前のガーデナーと認めてもらえない風土がイギリスにはある。
最も素晴らしい庭を造るガーデナーは常に庭の草取りをしている。
その腰をかがんでする草取りの姿が、「神に祈りを捧げてる」姿に見えるらしい。
数日前から東京も30度を超え蒸し暑さがこたえる季節になってきた。
クリスマスローズの鉢の中にも庭にも雑草が生い茂る頃になった。
私も神に祈りを捧げよう。
そしてイギリスのガーデナー達に負けないよう庭の神にお祈りを捧げよう。
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