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クリスマスローズの育て方とガーデニング 花と園芸植物の販売情報

若泉ファームのサイトにようこそ。お届けするクリスマスローズは奇跡の花、ニゲルとチベタヌスの交配種「絹」、外覆輪のセミダブル「雅」、ホワイト糸ピコティ「FirstKiss」、グリーンピコティ「翡翠」、赤い雄しべをもつ「卑弥呼」、 第4のクリスマスローズジャンル「Shall We Dance」などオリジナル品種をネットショップにて販売していますのでご利用ください。

クリスマスローズガーデンハイブリットの育種を考える

成功よりも失敗が

クリスマスローズの育種と言うと特別なもののように感じられますが、特に変わったことを行っているわけではありません。
遠い昔から人間が生きるために、食糧を得るために、心の癒しなどを求めるために植物や動物に対して手探りで行ってきたことを、幾分か先人達が見つけてきたデーターをもとに行っていることです。
当然、育種栽培を行うにはあらゆる文献、特に農学・それも遺伝学に関しての文献に当たらなければならないのですが、基本的には「メンデルの遺伝の法則」を頭にたたき込まなければならないかなと思っています。
ニゲルとチベタヌスの交配種 絹
小難しい理屈をいろいろ並べ立てたりいじっているより花・姿・病気など、その植物が持っている性質(遺伝情報)と言っても良いのでしょうが、その植物の個性を把握しなければと思います。
しかしクリスマスローズを、一般の方々がそれを行おうとした場合には、先人達が発見・伝承してきたことを大切にしながら、またクリスマスローズが生産者から市場、消費者に至るまでの流通経路やクリスマスローズの性格など考えなければならないことが発生してきます。
一般に園芸店などで売られているクリスマスローズなどの植物は、低温が早く来る地方・はたまた寒さが遅く来る温暖な地方などあらゆる環境で生産され、栽培温度を人為的にコントロールされ市場に出荷されてきます。

人より早く売りたい、当然求める客も多く早く出荷すれば貴重品扱いをして値段がつり上がる。
クリスマスローズも市場経済の掟からはなかなか逃れることは出来ないためか、その栽培温度をコントロールされた花を求めて、次の年になりますと買ったはずのない花が庭先で咲いたりベランダを彩ったりしています。

これらは育種と言う視点から見ますと完全に落第。
一株の個性が人為的な温度の管理に寄ってコントロールされているので、これらは育種という意味から見ますと全く使い物のないものになってしまいます。(詳しくは別の機会に)
現在のガーデンハイブリットの花に大きな影響を与えたヘレン・バラードさんが、「植物をよく観察しろ」と言われていますが全てこの一言に尽きるのではと思います。
アトロルーベンスオリジナル糸ピコティダブル
クリスマスローズの育種は今から150年ほど前のドイツで始められました。
初期は花を大きくすることや花色に育種の主眼がおかれ、その後オランダやベルギー、イギリスなどでも改良育種が続けられました。
しかし二度の世界大戦によって改良されてきたクリスマスローズは四散し中断の憂き目に遭います。
日本にこのクリスマスローズが伝わったのはドイツで育種が始まった頃、江戸時代の後期から明治の時代にあたります。

現在のように多様性をもったクリスマスローズが世界中の人々に愛され楽しまれるようになったのはごく最近、3〜40年前後のことです。
大戦後イギリスのエリザベス・ストラングマンさんやヘレン・バラードさん、ロビン・ホワイトさんなどが育種を開始し花の形はもちろん花色や花柄の種類も増えてきました。
それと同時に初期とは異なり市場からの要望か、育種上の多様性も失われてきたように感じられます。
若泉ファームで育種したニゲルとチベタヌスの交配種 絹 若泉ファームで育種した白の糸ピコティ
WAKAIZUMI-FARMでもクリスマスローズに様々な事を行っていますが、成功より失敗の方が非常に多いことがあげられます。
成功より失敗の方の話題が思白いと思いますので、その失敗談を。
あるピンクスポットの素晴らしい自然開花の株を手に入れて見ると花のそれは十分、一株では心許ないのでさらに数株を入手。
交雑をさせてめでたく5月末に種の採取し秋になるのを待ち、種を蒔いてから2年。
当然、発芽から2年もしますとクリスマスローズの花は咲いてきます。
3年前の結果が現れ、ここで大失敗をしてしまったのが解りました。
花の色やスポットの出方など花の色や形など表現はある程度ねらい通りになったのですが、株の立ち方を親株の選抜の時に注意していず失敗してしまったのを花が咲いてから知った訳です。

3年間の時間とお金を、どぶにたたき込んでしまったのです。
どのようになったかと言いますとほとんどの株の茎がまっすぐに立たず、斜めや横向きに茎が立ちこの交雑は大失敗に終わってしまいました。
発現したクリスマスローズの花の色や形はまずまずとして、致命的なのは花茎、これが横に流れるようでは、庭植え鉢植えの別なく花は完全に下向き。
雨が降れば花弁は土にまみれるようになる。
それも90度の下向きとしたら、想像してみてください。
ハンギングバスケットに植え込んで楽しむならいざ知らず、庭や鉢ではだれもその花を見てはくれないでしょう。ここでヘレン・バラードさんの言葉をかみしめることになってしまいました。

「植物を良く観察しろ」

このほかにも人には言えないような失敗談は山ほど有りますが、様々な個性を現してくれる目的に添った株を集めることともに、少なくとも親株にするなら入手二年目以後の花と株の姿で、自然の気温で咲かせ花色や花型の現れかたなどを見極め、その他いろいろな植物の個性を十分に観察してから花粉付けを行って行きたいものです。

 

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